libertarianmattersの日記

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因果という罠

『データ分析の力-因果関係にせまる思考法』(伊藤公一朗著/光文社新書)を読みました。

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

因果関係と相関関係、単純ですが、しかし多くの人が誤って理解してしまう問題について考えてみます。 (本書では、RCT・RD等の分析手法も紹介されますが、因果関係に絞ってかくことにします)

僕たちは、ふと油断すると、すぐさま因果関係と相関関係の罠にはまってしまいます。 XとYに相関関係があることがわかっても、その結果を用いて因果関係があるとは言えない。 なのにあたかも因果関係があるかのように、すぐ誤解してしまいます。

著者も書いているように、XとYの相関関係については3つの可能性があります。

①XがYに影響を与えている可能性 [X→Y]

②YがXに影響を与えている可能性 [Y→X]

③VがXとYの両方に影響を与えている可能性 [V→X/Y]

例えば、「アイスの広告を出した(X) → 売上が40%伸びた(Y)」 ・本当にXが原因であれば、①は成立して、因果関係があるといえます。

・そもそも売上が上がってきていたから、広告費を上げることができたかもしれない(Y)

・猛暑の影響だったかもしれない。(V)

・経済が全体的に良くなって消費者がお財布の紐を緩めただけかもしれない。(V)

要するに、売上が伸びた要因の一つは広告かもしれないですが、他の影響を否定できないことになります。因果関係の原因を確定することは、非常に難しいことがわかります。

僕は、学生時代から人文・思想畑にいましたから、実証科学の因果論証は、わりと正しいと無邪気に信じているところがありました。ですから、著者が因果関係の論証の難しさを滔々と語るには、素直にそうかと思う部分がありました。

L.アルチュセールは、XであればYとはいえず、Yという結果がでたときに、そこから遡ってはじめて原因Xがわかるということを「構造論的因果性」と呼びました。しかし著者の論証からすると、仮にYという結果がでても、Xを確認することは非常に難しいということになります。

因果の罠に陥ることなく、慎重に判断すべきだということを学びました。